花粉症とは、鼻腔内に入ってきたスギ等の植物の花粉に対する免疫反応によって鼻水等の症状が引き起こされることをいい、季節性アレルギー性鼻炎とも呼ばれます。また、花粉症の他にダニなどのアレルゲンによって引き起こされる鼻炎は通年性アレルギー性鼻炎と呼ばれます。最近では花粉症と通年性アレルギー性鼻炎の併発や、複数の花粉に反応する花粉症など、ほぼ一年中症状に悩まされるという人も少なくありません。
当院では、アレルゲン免疫療法(減感作療法)の一種で、アレルギーの原因物質(アレルゲン)を少しずつ体内に吸収させることでアレルギー反応を弱めていく舌下免疫療法を受けることができます。
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舌下免疫療法は、薬物療法やレーザー治療などのようにアレルギー症状を抑えるだけでなく、根本的にアレルギーを治療することができる唯一の治療法です。
舌の下に薬剤を投与、つまりアレルギーの原因物質(抗原)を少しずつ身体に与えることで、アレルギー反応を起こさないような身体にしていく治療法です。
原因となるアレルゲンを用いて行う治療法のため、原因となるアレルゲンを確定する確定診断(主に血液検査)が重要です。現在、スギ花粉症とダニアレルギー性鼻炎に対する治療が可能です。
適応はスギ花粉、ダニアレルギー共に5歳以上になります。治療は長期間(3~5年)かかります。
スギ花粉症に対する舌下免疫療法はスギ花粉の飛散時期中は治療を開始できません。したがって、飛散時期終了後の6月以降が開始時期となります。ダニアレルギーの場合はいつでも構いません。
妊娠中、妊娠を希望している方は、治療を開始することができません。治療を開始してから1週間程度の増量期を経て維持期となれば妊娠は可能です。
以下の副作用は治療開始後1ヶ月間やスギ花粉飛散期(スギ免疫療法の場合)に起こりやすいといわれています。
アナフィラキシーショック
薬物などに対する過敏反応により、投与後多くの場合30分以内で、じんま疹などの皮膚症状や、腹痛や嘔吐などの消化器症状、息苦しさなどの呼吸器症状、突然のショック症状(蒼白、意識の混濁など)がみられることが、ごく稀にあります。
スギ花粉、ダニアレルギー性鼻炎ともに以下のような臨床試験の結果が報告されています。
アレルギーの原因となるもの(アレルゲン)を少量ずつ投与することで、体をアレルゲンに慣らし、アレルギー症状を和らげる治療法です。今までのアレルギー治療は対症療法でしたが、根本的な治療が期待できる治療です。
現在、スギ花粉症とダニのアレルギー性鼻炎に適応があります。またハウスダストアレルギーの原因のほとんどはダニによるものと言われておりますので、ハウスダストアレルギーの方にも有効です。
スギ花粉、ダニアレルギー共に5歳(できれば小学生)以上となります。
下記に舌下免疫の治療薬を記載します。
【スギ花粉症】
シダキュア(鳥居薬品)
【ダニアレルギー】
ミティキュア(鳥居薬品)
毎日、舌の下に薬を置いて内服する治療となります。治療期間は少なくとも3年以上は必要で、場合により4年~5年までのことがあります。 短期間で治療を終了しますと、治療終了後の効果が持続しないと考えられています。
血液検査によるアレルギー検査でスギ・ダニが陽性であることが必要です。
妊娠中・近々妊娠希望の方、重症な喘息、重い心臓疾患がある方はできません。また高血圧でベータブロッカーという薬を内服している方は他の薬に変更する必要があります。
治療開始後1~2回は2週間毎、副作用なく安全に治療できていることが確認できましたら、月1回(4週毎)の通院となります。
スギ花粉症の治療の場合は、スギ花粉が飛んでいない時期に治療開始となりますので、5月中旬~12月となります。ダニアレルギーの場合はいつでも可能です。
保険適応3割負担の場合
シダキュアスギ舌下錠:初めの1週間123円、2週間以降は28日分で1230円
(初め1週間:58.6円/錠×7日×0.3、2週目以降:146.4円/錠×28日×0.3)
ミティキュアダニ舌下錠:初めの1週間144円、2週間以降は28日分で1730円
(初め1週間:68.2円/錠×7日×0.3、2週目以降:205.9円/錠×28日×0.3)
舌の下方に薬剤を1分間保持しないといけないので、それができる子供でないと開始するのは難しく、実際は小学生からのスタートをお勧めしています。
舌下免疫の治療中でも、アレルギー症状が出たら、今までの治療薬(抗ヒスタミン薬など)を使うことは問題ありません。ただし、ステロイドの内服薬は控えて頂く必要があります。
舌下免疫療法の担当医は小林院長です。
現在、予約制ではなく、一度受診をお勧めします。
月・火・木・金・土曜日(水曜日以外)の午前中です。
初診の方は9-11時までに受付をして下さい。
(診察時間は9-12時です)
担当医
以前の私は花粉症とは無縁で、全く症状は無かったのですが、ある年に突然、目がかゆくなり、鼻汁が水のように出るようになってしまいました。これが花粉症かと思い、少し残念な気持ちになっておりました。当時、皮下注射する皮下免疫療法はあったのですが、注射は痛みがあることと、通院が面倒であったため、対処療法としての一般的な抗ヒスタミン剤を中心とした薬物療法を受けていました。しかし残念なことに年々症状が悪化し始めていきました。
そんな中、2014年に舌下免疫療法が開始されました。「これは本物だ!」と直感し、早速、開始しました。最初は舌の下に1分間シロップ(現在は錠剤です)を保持しているのが面倒でしたが、むしろ毎日やることで慣れていき、当たり前のようになりました。実際、あまり苦にはならなかったです。これくらいで花粉症が克服できるのであれば、やる価値は十分にあると思いました。3年経ったところで、症状が改善したとはいえまだ症状があり、もう少し良くなりたいというのが正直な気持ちでした。そこでさらに2年続け、最終的に5年間、服用し続けました。
現在、服用を終了してから2,3年が経ちますが、私としては十分に満足しています。効果は印象として、症状が1/3から1/2くらいまで改善したように思います。少なくとも毎日目がかゆい、鼻汁がでるということはなく、外出する際は軽い抗ヒスタミン剤を飲み、点眼薬を使用する程度です。治療を受けて良かったと実感しています。また副作用もありませんでした。
最後に、この舌下免疫療法は薬物療法やレーザー治療などのように、アレルギー症状を抑えるだけでなく、根本的にアレルギーを治療することができる、唯一痛みを伴わない治療法だと身をもって実感しております。